専任技術者:実務経験として認めてもらえない場合があるので要注意!
技術職員は国家資格を持っていなくても一定期間の実務経験を積むことで建設業許可の専任技術者として選任することができます。施工現場の技術職員として原則として通算10年の実務経験があればその経歴を活用することができます。
ところが、この実務経験については、いくつかの制約をともないます。
例えば、個別の受注案件によっては複数の業種の施工を同時並行で行うことがあります。電気工事と空調設備工事(管工事)、塗装工事と防水工事などが代表例です。
また、長期的にみれば、複数の業種を保有する建設業者の下で技術職員として勤務する過程では、複数の業種の実務経験を積んでいくことも少なくありません。
しかし、専任技術者の実務経験は、ある10年の期間を区切って評価する場合「平成18年4月~平成28年3月まで」の10年間に関しては、1業種分の実務経験しか認めてもらえません。もし、2業種の専任技術者を実務経験で認めてもらおうとするならば、期間の重ならない10年でそれぞれ1業種ずるの実務経験を認めてもらうしかないのです。これは、指定学科を卒業した経歴を利用して実務経験を認めてもうらう「3年」や「5年」の期間においても同様です。
他方、「電気工事」と「消防施設工事」については、実務に携わった期間を認定するにあたって、その時点で国家資格を保有することが条件となり、電気工事士法、消防法の規定により無資格者が施工現場で実務に携わることがそもそも予定されていないため、資格取得以前の期間を実務経験期間とする申請そのものができません。
また、専任技術者に就任できる資格の中には、給水装置工事主任技術者や第2種電気工事士のように、資格の保有自体に加えて合格後(または免許交付後)一定期間の実務経験が要求される場合があるので、資格を持っているからといって安心せず、しっかりと専任技術者に就任できる要件を見極めて申請に挑むことが肝要です。